ツアーコンダクターの仕事とは？
旅行の成功を支えるプロ
ツアーコンダクターは、団体旅行に同行して予定通りの旅行ができるよう、また参加者が快適な旅行を楽しめるようにする職業です。ツアーコンダクターは旅行管理主任者、添乗員とも呼ばれています。
ツアーコンダクターの仕事は大きく二つに分けられます。一つはデスクワークです。出発前に目的地の下調べや手配担当者との打ち合わせ、参加者への確認連絡、旅行後には清算やレポートの作成を行います。
もう一つは添乗業務です。担当するツアーの責任者として集合から解散まで参加者と共に行動する業務です。
まずは集合場所で参加者の点呼や搭乗券などを受け渡しし、旅行中の注意事項などを説明します。目的地に着いたら現地の施設やホテルスタッフとスケジュールを再確認し、見学や観光に向かい、食事や観光施設の入場手続きを行ったり、宿泊ホテルで参加者全員のチェックインをします。
このほかにもさまざまな役割があり、旅行中の参加者の相談を受けたりツアーを盛り上げる企画を考えたり、交通機関の遅延の対応、病人やけが人が出た場合の対処など全てがツアーコンダクターの仕事です。
ツアーコンダクターの年収はどのくらい？
正社員の場合、一般的には初任給が月給20万円程度となり、経験が増えるにつれて年収がアップします。
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、平均年収は394.3万円、令和4年ハローワーク求人統計データによると、求人賃金（月額）20万円となっています。
観光業界は季節性があるため、雇用形態も正社員や契約社員、パート、アルバイトなどさまざまです。また国内旅行や海外旅行、企業の社員旅行など、担当する旅行プランによって年収は大きく変わります。
一般的に年収は400万円〜600万円程度とされていますが、スキルの高いツアーコンダクターであれば、年収1,000万円以上を稼ぐこともあります。
ツアーコンダクターになるには？
ツアーコンダクターになるためには必要な資格を取得し、一定の知識やスキルを身につけることが必要です。観光学やホスピタリティなど学ぶことが多岐にわたるため、大学の観光学部や専門学校に入ることが最も近道となります。
ツアーコンダクターは、国内だけでなく海外でのツアーに携わることがあります。そのため英語やその他の外国語を習得し、さまざまな言語を活用してコミュニケーションを取れる人の需要も高まっています。
大学であれば観光学や特定の語学などそれぞれの分野に特化した学びがメインですが、専門学校であれば、旅行業界に関する知識と合わせて語学もカリキュラムに組み込まれているなど、就職に特化した学びを受けることができるでしょう。
旅行業界は常に変化しているので、ツアーコンダクターは常に最新の情報を収集し、知識をアップデートし続けることが求められます。
ツアーコンダクターになるために必要な資格って？
ツアーコンダクターには、「旅程管理主任者」という資格が必要です。この資格には、国内旅行のみに添乗できる「国内旅程管理主任者資格」と、国内旅行に加えて海外旅行の添乗もできる「総合旅程管理主任者資格」があります。
そのほかに、就職・転職に有利に働く資格や、持っていると実務に役立つ資格は以下のようなものです。
- 旅行業務取扱管理者
- TOEIC®
- 観光英語検定
- 旅行地理検定
- 世界遺産検定
ツアーコンダクターの将来性は？
旅行業界は景気の影響を大きく受ける業界で、ツアーコンダクターをとりまく状況は決して安泰とは言えません。
現在、若年層を中心に自分で手配を行う個人旅行や、交通手段とホテルの宿泊のみがセットになっているフリーツアーを選択する人が増えています。また、海外ツアーでは、ガイドの資格のある「ツアーガイド」が現地の観光案内をするケースが多く、日本から引率して海外旅行先でもずっと同行し、日本への帰国までを通してツアー客のお世話をするツアーコンダクター案件は少なくなってきているのが現状です。
一方で、若年層のツアー離れとは逆に、熟年層にはパッケージツアーを好むお客様が根強くいらっしゃるのも事実です。今後さらに高齢化社会が進んでいくことから、金銭的に余裕のある高齢者層のパッケージツアーの需要はますます伸びることが期待できるでしょう。
これまでになかったユニークな内容のミステリーツアーや婚活ツアーや謎解きツアーなども現れ、幅広い年齢層から支持を得ています。目新しく需要のあるツアーを企画することで、ツアーコンダクターの需要は広がりを見せます。
ツアーコンダクターに向いているのはどんな人？
ツアーコンダクターは、参加者がツアー中の時間を大いに楽しみ、安全に終えることができるように調整する仕事です。そのため、ツアーコンダクターにとって最も大切なのは、人に奉仕することが好きだということです。人の面倒を見ることが好きな人、相手が喜ぶ顔を見ることで自分も嬉しくなるといった人に向いていると言えるでしょう。
ツアーコンダクターは、ツアー中の参加者にその地域についての情報を提供したり、質問に答えたりします。知らない場所に関する情報を調べ、文化や風習を知ろうとする努力ができる人であることも大切です。また、海外添乗を目指す場合には語学力が求められます。向上心が強く、就職後も学び続ける姿勢が必要です。
ツアーコンダクターはスケジュールが過酷であったり、緊急時の24時間対応が求められたりするので、ストレスへの耐性や強い責任感も重要になります。トラブルでも動じない精神力があり、心身ともにタフな人が向いていると言えるでしょう。
ツアーコンダクターを目指せる学科は？
お客様の立場にたったおもてなしを学ぶ
ツアーコンダクター専攻では、添乗員として安全で楽しい旅行を提供できるよう、さまざまなことを学ぶ他、在学中に資格を取得し、実際に添乗業務を経験して実践力を養います。
添乗員業務知識の授業では、添乗経験が豊富な先生から添乗の基礎、さまざまなケースへの対応のノウハウを学ぶことが可能です。トラベル英会話の授業では、海外添乗で必要な基本的な英会話を学び、添乗員として空港やホテルでの対応の仕方や病気などの緊急時の対応についても学びます。その他にもイベントプランニングでイベントプロデュースのノウハウを得るなど、ツアーコンダクターとして必要な知識とスキルにさまざまな面からアプローチしていきます。
