鉄道車両整備士とは?
安全な運行を支える縁の下の力持ち
鉄道車両整備士とは鉄道車両はもちろんのこと、鉄道運行に関わる各種設備や施設に関する点検や保守、整備を担当する職業です。日本の鉄道は時刻表通りに運行することが、世界的にも知られています。こうした定期的な運行を実現しているのが、鉄道車両整備士による保守や点検、整備です。
常に鉄道車両や運行に関する整備を適切に行うことで、車両の整備不良や設備の不具合による運行の乱れが発生しにくくなっています。
鉄道車両整備士の年収はどのくらい?
鉄道車両整備士のみの正確な年収をまとめた公的データはありません。参考までにいくつかのデータを紹介していきましょう。
厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」の令和5年度の調査結果によると、「鉄道線路管理」の平均年収は約411万円となっています。鉄道線路管理は鉄道会社だけではなく、下請の管理会社が行っているケースも多いため、直接鉄道車両整備士の年収とはなりませんが、参考にはなるかと思います。
また、大手転職サイト「indeed」において、「鉄道工事」の仕事の平均年収を調べたところ、約506万円という結果が出ました。
この2つのデータから、鉄道車両整備士の平均年収は、400万円台中盤あたりかと想像できます。この数字は、給与所得者全体の平均年収とほぼ同等です。鉄道車両整備士の年収は平均的と考えられるでしょう。
鉄道車両整備士になるには?
鉄道車両整備士となるためには、何より鉄道会社に就職する必要があります。鉄道会社の整備を担当する部門に就職することが第一条件です。
大学の工学部や鉄道系を学べる専門学校などで、鉄道車両整備士に必要な技術的な知識や、鉄道車両に関する基本的な知識を身に着け、鉄道会社の担当部門への就職を目指しましょう。
特に専門学校ではインターンシップや産学連携など、在学中から鉄道業界との結びつきが強いため、鉄道車両整備士の就職に必要な知識やスキルをしっかりと身につけることができます。
鉄道車両整備士になるために資格は必要?
鉄道会社に就職する際に、必要な資格はありません。鉄道車両整備士に必要な資格として「鉄道車両製造・整備技能士」(国家資格)がありますが、この資格の取得には実務経験が必要です。就職前に取得はできません。
「鉄道車両製造・整備技能士」は名称独占資格で、鉄道車両整備士を名乗るためには、この資格取得が必須となります。
受験には実務経験が必要
「鉄道車両製造・整備技能士」は国家資格です。この国家試験を受験するには、実務経験が必要です。
「鉄道車両製造・整備技能士」には1級と2級があります。1級の方が難しく、受験資格も厳しくなります。1級を受験するには7年以上の実務経験、2級を受験するには2年以上の実務経験が必要です。
鉄道車両製造・整備技能士の種類
「鉄道車両製造・整備技能士」にはいくつかの種類があります。「鉄道車両製造・整備技能士」は車両や設備など、さまざまな整備に関わるため、それぞれの整備における、専門的な知識が必要になるためです。「鉄道車両製造・整備技能士」の種類は以下の通りです。
- 機器ぎ装作業
- 内部ぎ装作業
- 配管ぎ装作業
- 電気ぎ装作業
- 鉄道車両現図作業
- 走行装置整備作業
- 原動機整備作業
- 鉄道車両点検・調整
「鉄道車両製造・整備技能士」の資格取得を目指す方は、自身が関わる整備業務に合わせて受験する作業を選択する必要があります。また、自身が関わりたい業務がある場合は、その業務に直結した作業の資格を取得しなければなりません。
いずれにしても、資格の取得には実務経験が必要ですので、まずは鉄道会社に就職し、鉄道車両整備の仕事に就いてから取得を目指す形になります。
鉄道車両整備士の将来性は?
鉄道はこの先も国民の足として欠かせない生活インフラであることは間違いありません。また、各種技術の発展で、鉄道車両もさらに進化していくでしょう。鉄道が存在する以上、鉄道車両整備士は必要なため、将来性が非常に高い職種といえます。
また、鉄道車両の技術的な進化に合わせ、鉄道車両整備士も新たな知識が求められるでしょう。鉄道車両整備士として働きながら、新たな技術や知識を吸収していく必要があります。向上心のある方であれば、将来的にも活躍し続けられる職業といえるでしょう。
鉄道車両整備士に向いているのはどんな人?
鉄道車両整備士の仕事は、鉄道車両や関連設備の保守や点検、整備です。一般的なサラリーマンと比較すると、やや特殊な働き方や業務内容となりますので、向いている方の傾向もハッキリしています。
メカニックに興味がある
鉄道車両整備士である以上、メカニックに興味のある方でないと長くは続かないでしょう。また、単にメカニックに興味があるだけではなく、鉄道が好きという点も大きなポイントとなります。鉄道車両整備士の仕事は比較的同じような作業の繰り返しになるケースが多いため、機械いじり等、メカニカルな作業が好きな方におすすめといえるでしょう。
変則的な勤務に対応できる
鉄道車両整備士の仕事は、日中の仕事もありますが、終電から始発までの間の作業など、変則的なシフトになるケースもあります。こうした変則的な勤務に対応するには、それなりに体力が必要といえるでしょう。
また、自然災害等が発生すれば、急な対応を迫られるケースも考えられるでしょう。変則的な勤務体系に対する対応力も重要なポイントです。
責任感が強い
鉄道車両整備士の仕事は、鉄道を利用する多くの乗客の方の命を預かる重要な仕事です。鉄道車両整備士が雑な仕事をすれば、大事故を引き起こす可能性があるため、細かい作業まで責任感を持って確実にこなすことが求められます。
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